■趙雲子龍 【加野 厚志 著/幻冬舎/幻冬舎文庫】 (評価★0〜5)
 一応、趙雲が主役の小説……ですが、私は設定が甚だ気に食わないと他も 全く評価できなくなる人間なので、これはその典型的な例。
 趙雲は、砂漠で助けた美女となんだか互いに心惹かれる雰囲気になるものの 二人は別れて、再び相見えたときは、相手が主君の妻になっていたというストー リィ(古)で、それが劉備の甘夫人というオハナシです。
 たとえ不倫とまではいかずとも、それが淡いものだったとしても、主君の妻に 想いを寄せる臣下と、夫よりそんな臣下に心を許す妻というのが、世の中で一 番嫌いな設定なのに、それをあろうことか趙雲で、というのが個人的には許せな いところ。(関係ないけど、昨今の戦国大河では割と高い評価を受けながらも、 『風林火山』をどうしても好きになれないのは、その設定のせい。)
 あと、劉備の、妻子よりも男同士の信義を重んずるといった態度を男尊女卑と みなし、それ憎むような心理描写が度々なされるのですが、その一方で、劉備 の人柄に圧倒されるような描写もみられるので、作中の趙雲が劉備のどこに 惹かれて臣従するに至ったのか、いまいち測りかねるようなところがあります。
 男尊女卑の態度以外には心服しているのか、あるいは、人たらしの劉備にう まいことたらされているだけなのか…、私は後者のような気がしますが;;
 あと甘夫人の葬儀の扱いが酷いということだが、雑兵だって同じ人間だ(笑)
(お薦め度−、不倫?度★★★☆☆、趙雲実は殿のこと嫌い?度★★★★☆)
(2011.5.16更新)